『薬師寺のお盆について』


ここ薬師寺では来月八月十三日午後『維(い)豊(ぶ)気(き)道(ロード)』と銘打って本堂及び境内で『お茶会・絵馬作り・落語一席・供養一座』を開催し『御霊祭り』を行いますので是非ご参加ください。

詳しくは後日このホームページ上に記載いたします。



愈々お盆がやってきます。八月のお盆がこの辺では通例ですが、関東地方では七月のお盆が多いようです。、地域によって七月八月と様々ですが愈々お盆の時期がやってきます。

お盆というのは元々古代インドの言葉サンスクリットのウランヴァーナ(逆さ吊りの苦しみ)という意味から来ています。それが音で漢字に記され『盂蘭盆』として表記されることになりました。日本では略され「お盆」と云われることになりました。仏説盂蘭盆経によりますとお釈迦様の十大弟子の一人目連尊者の母親が餓鬼道に堕ちて苦しんでいたという事の話です。神通力第一の目連尊者は自分をこの世に授けてくれた母親の幸せを願い、神通力を駆使して探してみたところが餓鬼道という世界で苦しんでいた様子を見て、どのようにしたら苦しむ母親を助けることができるだろうかとお釈迦様にお尋ねになったという事です。インドでは現在でもそうですが雨期があります。雨期には様々な小動物が活動しますので小動物を踏んで無駄な殺生を防ぐために当時のインドの仏教者は外に出ることなく一定の場所に定住し修行をするというのが常でした。日本でも梅雨というのがあるわけですがインドでは一時的に降る雨の量が日本とは比べられないようですが、修行をしている仏教者が外に出ることなく瞑想や座禅をして修行に専心したのです。「雨安居」と云います。

お釈迦様はその様に修行している者たちに食べ物を施すことによってお母さんは救われるであろうと目連尊者に話をされました。お釈迦様の言われたことに従い供養を行ったことによりお母さんは笑顔を取り戻し苦しみの世界から救われたという仏説盂蘭盆経からの故事によります。

日本では七世紀初めにお盆の行事が行われたことが記載されているようです。様々な説はありましょうが仏教が日本に伝わったのは六世紀初旬なので百年近くたってからお盆の行事が行われたようです。何れにしても亡き人を迎え共に食卓を囲み先祖と一緒に食事をするというような風習は国や地域によって多少の違いはあっても非常に美しい伝統です。皿を分けるという漢字も形と意味が絶妙です。『お盆』とは非常に美しい日本の伝統です。『御霊祭り』という事でコロナ終息も相まって喜ばしい事であります。



令和五年七月九日                 早朝


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